開催レポート

60周年記念連続セミナー第五回、たくさんのご参加ありがとうございました。

11月18日、東京法律事務所60周年記念連続セミナー第5回『男女平等社会の実現を目指して』を開催しました。

セミナーの様子

第1部は、「マタハラを受けた女性労働者からの報告」として、JALマタハラ事件、育児短時間制度昇給抑制(東大和療育センター)事件それぞれから、原告の方、支える会・所属組合の方、弁護団から、マタハラによる当事者の苦しみ、それを乗り越えるための運動、訴訟での取り組みを報告しました。

セミナーの様子

第2部は、「男女が共に安心して働ける職場づくりのために」として、JAL整理解雇原告の内田妙子さん、医労連所属組合であるひまわりユニオン執行委員の矢内さん、今野久子弁護士、岸松江弁護士、長谷川悠美弁護士の5名で、それぞれの組合での取組や成果、女性労働者が差別され貧困に追い込まれている実情、それを乗り越えるためにはどうすればいいかについてパネルディスカッションを行いました。

セミナーの様子

女性労働者の差別を解消するためには、男女問わず長時間労働を抑制することが不可欠です。長時間労働が当たり前の職場では、「女性は家庭、男性は仕事」という性別役割分担意識と相まって家庭責任を負う多くの女性が育児や家事をしながら働き続けることは困難となります。結局女性が仕事を辞めたり非正規になったりして、男女格差が解消されず女性の貧困化がすすみます。それは男性労働者の長時間労働と表裏の関係であり、結局全ての働く者の労働環境全体の悪化を生みます。

全ての労働者が働きやすい世の中にするためにも、男女労働者の労働時間の上限規制が必要であり、安部内閣のもとでの労働時間規制緩和を許すことはできません。そのためには労働組合と男女労働者の運動が重要です。

感想のご紹介

◆第1部「マタハラを受けた女性労働者からの報告」の報告はいかがでしたか?

  • ●JALの裁判については自分も見聞きしたことがあったが、内容まで踏み込んで報告していただけたので非常に勉強になった。
  • ●会社側のいう「ノーワーク、ノーペイ」という論理を崩すのは難しい面があると思いますが、不利益を女性だけが被るのは不合理だと思います。子どもを産んで育てることは社会の土台中の土台なので、社会や政治の役割が大きいと思います。
  • ●興味ある裁判の話で参考になりました。
  • ●JALの原告の闘いが、その後妊娠した人たちが産前地上勤務に就けた前進につながっています。東大和センターの方々の闘いも、昇給抑制が今は是正されていると御報告されました。先頭になって闘っている方達がいるからこそ、制度を改正させられるのですよね。しかしまだまだ男女差別が横行している実態があります。女性だけじゃなく男性も一緒に声をあげていかなければならないと思います。
  • ●労働の実情が内に内にと向いていっているように思いました。そう向けられているのかもしれませんが。
  • ●私はJALマタハラ裁判の関係者で、JALの問題はよく存じておりますが、看護師の職場でも同じような実態で、女性の多くが働く職場のはずが一番女性を軽視している職場だと思いました。また提訴が職場の要求前進にもつながっていると確信いたしました。今後原告の昇級差が残っているとのことで、不利益は続いているので、完全勝利で負けないでほしいと思います。
  • ●JALマタニティハラスメント裁判の関係者です。支える会の存在も多くの方に周知させていただけてありがたかったです。日本航空という会社は、特に客室乗務員の職場は、99.9%が女性であるにも関わらず、女性が出産し、育児をしながら仕事を続けるための制度が不十分です。企業義務であるはずの短時間勤務制度も最大労組との労働協約で適用外にしています。
  • ●こんなことが、未だに行われているのかと、一緒に参加した娘が驚いていました。
  • ●このような事件が、裁判の場で争わなければ解決しないことに怒りを感じます。人権感覚の遅れが女性差別を助長しています。原告の勇気に拍手を送ります。
  • ●相手方の論理がよくわからない。一口に労働者といっても業界ごとに特殊な慣行が存在し、それが人権を侵害しうるものであることが、あらためて理解できた。
  • ●女性も男性も個々の人間を大事にしていかないと未来はないと思う。
  • ●業界の常識を再度疑ってみる必要があると思いました。社内の状況も再度チェックする必要性を感じた。
  • ●マタハラの実態を初めて詳しく知りました。
  • ●女性が社会で普通に働き続けることの困難さを感じています。闘ってこそ変えられると思って頑張りたいです。今野先生、長谷川先生、今後もお世話になります。
  • ●今野先生、長谷川先生、いつもありがとうございます。日本国内に本当にたくさんの妊婦さん、ママさんがハラスメントを受けていることがあらためてわかりました。様々な職場であらゆる形でのハラスメント…今の社会の流れを良いように利用し、日本国民みんなが関心をもてる問題、議題にしていきたいですね。立ち上がってくれた女性たちのためにも。
  • ●当事者の声を聞けたことが大変分かりやすかった。どんな気持ちで働いていたのかよくわかった。
  • ●JALマタハラもよくわかりました。JALひどいですね。前近代的。
  • ●堂々として格好良かった。組合のバックアップあってこそ、産前休職したことは、妊娠を理由とする不利益取扱と簡単に言い切れるか?妊娠→乗務停止→地上職の検討→(ポストがない場合)「会社が認める場合」にあたるとして産前休職命令になる。妊婦、即、休職ではないから、産前休職制度自体が均等法違反と言うのは論理に飛躍があるように思う。ただし、従前は全員が地上職につけていた事実があるので、これを変更して休職する場合を設けたことは不利益取扱と言えるし、労働条件の不利益変更また、変更後の規定を適用して休職にしたことも不利益取扱だし、仮に制度自体は不利益取扱にならなくても本件でつきうる職務があったのにポストがないと嘯いて休職にしたと認定されればやはり不利益取扱となる。しかし、空きポストがなくとも地上職につけないことは均等法違反という主張をするのだとすれば、それは不合理な主張になってしまうだろう。結局、①「会社が認める場合」を設けたことが妊娠を理由とする不利益取扱ななおか、会社経営上のやむを得ない措置となるのか、②現実につきうる地上職業務があったのか、が争点になるのではないか?
  • ●事件の概要や法的主張を説明してくださったのでわかりやすかったです。原告の方々の生の声を聞くことができ、事態の深刻さが伝わってきました。長谷川弁護士の「JALがましなんじゃないんです。航空業界全体がおかしいんです。」「子どもを生みたくても生めないというのは女性に対する最大の人権侵害だと思います。」との言葉が響きました。
  • ●裁判というのは、弁護士が頑張るものというイメージがありましたが、女性労働者の権利というのは、まぎれもなく当事者の方が闘って勝ち取ってきたものであることを感じました。
  • ●原告の方々が声を上げ、闘ったことにより、企業内の制度が改善され、後進が働きやすい職場が作り上げられていることを実感しました。痛みを伴う活動を続ける原告の方々、それを支える弁護士、組合の方々の存在を多くの人たちに知って頂きたいと思います。このような発表の場は重要であると感じます。
  • ●マタハラを受けた女性労働者の実際の声を聞くことができて良かったです。
  • ●子育てをしながら、裁判を行うことの難しさや大変さをあらためて知りました。

◆第2部「男女がともに安心して働ける職場づくりのために」のパネルディスカッションはいかがでしたか?

  • ●賃金について知らないことが多く印象に残った。自分でも何とかしたいという気持ちになりました。
  • ●実効性を失わせている最大の原因は長時間労働であるという言葉が印象的でした。労働者全体の問題としてとらえたい。
  • ●歴史的な前進と到達、前進と反動がよくわかりました。敬意を表します。
  • ●男性のコメント、逆の立場のコメントがあれば、より内容が立体的に見えたのでは。各パネラーの主張はよくわかった。非常に参考になりました。
  • ●使用者の好き勝手を食い止めるには組合の存在、拡大が重要だと実感した。組合があれば簡単にマタハラはできない。しかし実際は小さいところだと会社側の言うことに逆らわず、上司のご機嫌を取っていれば楽で、良い評価を得られると考える人もいてやっかい。女性の活躍についても、女は家にいて、男は働くのが当然と思う男女もまだまだ多いように思う。女だから甘えた女性も結構いる気がします。グラフの資料がもう少し大きく見やすかったら良かった。少し見えづらかった。もったいない。
  • ●内田さんの女性の闘いで地位を向上してきた歴史がとても解りやすかったです。JALは本当に闘いの歴史でした。しかしベテランを切り、また若年性に後戻りしています。今や非正規が40%の社会で、しかも解雇事由の社会作りを目指している安倍政権を交代させなければ日本の将来が危ういと、とても危機感を感じます。どうしても正社員化の闘いを前進させなければならないと思います。
  • ●法律は整備されてきたけど、現実は女性にとって、働きやすい職場にはまだまだなっていない。女性登用を言うけれど、長時間労働の仲に組み込まれることになり、賃金は上がらず、責任だけが重くなり、足踏みしてしまうと女性職員は言っています。
  • ●ひまわりユニオンの組合結成以降の要求獲得はすごいと思いました。やはり闘う環境があって、実際に闘っている職場は働きやすい職場になっていると思いました。あらためてまとまって裁判、労働組合の歴史を振り返り、お話をうかがい、どんな形でも闘っていくことが大事で、闘いの積み重ねであり、今後も継続していければと思います。
  • ●ひまわりユニオンの活動、成果、素晴らしいと同時にうらやましく感じます。この成果は組織率の高さと多くの要求が一致していることにあるのではないでしょうか?客室乗務員の職場というのは決まった机があって、毎日同じ同僚と仕事をするわけではないのでお互いの悩みの共有が難しく、孤立しがちでパワハラを受けても相談出来なかったりします。
    セミナー最後の今野先生、長谷川先生の組合へのメッセージをありがたく受け止めさせていただきます。
  • ●女性のたたかいが、社会を変えてきたことが認識できた。実効性のある法律が必要。悪法のみ実効性がある。
  • ●女性労働に焦点をあて、労働組合でないところで、組合活動と権利の獲得の取り組みが報告されたことは大変嬉しいです。女性活躍も組合のバックアップがなければ全く力を発揮しないおそれがあります。逆もどりさせないためにそれぞれの分野で力を発揮することが求められていると実感しております。これからは非正規労働に力点を置くことになると思いました。ありがとうございました。
  • ●各種データでみると、不合理な差別が多いことがあらためて認識できた。
  • ●家庭の中から男女平等をつくっていく事も大事。しかし、社会運動などで、政治を変えて、長時間労働を変えていかなくてはと思う。
  • ●五分間の学習会はいいなと思いました。グラフがもう少し見やすいと良かった(出典だけでも)。長時間労働はなんとかしてほしいです。パートの時給もアップが必要と考えています。労働組合の執行委員が長時間労働であえいでいる中で、どうしていけばいいのか分からない。
  • ●女性が働き続ける権利は闘いの結果、得てきたものであることをあらためて認識できました。
  • ●まとまった話が聞けて良かったです。女性の闘いは男性をも勇気づけて来たのだと思います。法律家と労働者がしっかりスクラム組んで企業に対抗していかないといけませんね。
  • ●医労連ひまわりユニオンの矢内さんのお話も、内田団長の話も、本当に勉強になりました。困難な中でも働き続けて来て下さった先輩方が一つ一つ環境を切り拓いて下さったんだと思います。今後の若い世代の男女が共に働きやすい、そして人としての生活を健やかに営める社会をつくっていくのが、今を生きる私たちの義務だなとあらためて感じた。
  • ●運動の歴史や現状についてのデータを拝見して、非正規・貧困問題がクローズアップされるようになったのは、まさに立ち上がってきた人がいたからであるとともに、〝本来、正規職員であるべきはずの(新卒)男性が、非正規にしかなれなくなった〟から(=女性は雇用の調整弁としての役割を強いられてきた)ということを再認識しました。法を実効化し、権利を消さないためにも、正当な要求はきちんとしなければならないですが、そのためにはジェンダー不平等が内面化されているということと立ち向かわねばならず、容易なことではないと思います。そうであっても、どのようにして声を上げ、支援者を増やしていくか、自分なりに考えていきたいと思います。
  • ●矢内さんが労働組合で成長している実感持っていることがよく津割ってきました。見違えちゃいますね。ひまわりユニオン、スゲーじゃん。パネリストのみなさんの労働組合への期待、叱咤激励。受け止めました。身が締まる思いです。
  • ●ひまわりユニオンのリーフは良く出来ている。丁寧に要求を吸い上げ、法律をうまく使って、風土を変えていく、という方針は素晴らしい。組織化が進むと手が回り切らなくなることもあろうが。
  • ●今野弁護士がおっしゃっていた通り、女性の労働に関する問題が非正規の問題に替わってきている、というのはまさにその通りだと思いました。女性で非正規で、障害を持っている方などは二重、三重苦しんでいると思います。先生方や原告の方々、組合の方々の活動を支援していきたいと思います。
  • ●全体をとおして、妊娠して、他の人に迷惑かけるし、いろいろ権利をもとめるのは自分のわがままなのかな、と思いがちで、声をあげることは難しいことですが、みんなが働きやすく普通に暮らしていける社会をつくるために、必要なことなのだと思えば、声を上げる勇気がでるなと思いました。「知を力に」という言葉がすごく印象的でした。
  • ●現状を打開するためには、最近賃金をアップすることが必要であるということを伺い、そのとおりであると思いました。そしてそれは、裁判で勝つだけでは実現できず、難しい問題であるとあらためて思いました。
  • ●現状をなげいて終わるのではなく、今後の展望、世論の関心の変化等、前向きな話もあり、意義のあるディスカッションであったと思います。
  • ●性別役割分業など、整理された説明があり、勉強になりました。
  • ●弱い立場でもちゃんとした権利があるので、しっかり声をあげることが大切なのだとあらためて、感じました。私はまだ妊婦さんになったことがありませんが、通勤の時の冷たい声(exお腹が人にぶつかるだけ…)を聞いて、そんな風に思う人がいるのかと将来が不安になりました。早くみんなが平等な未来がきたらいいなと思います。
  • ●みなさんの努力で今の日本の職場環境ができあがったんだと痛感しました。私は母子家庭で一生懸命働いてきましたが、振り返ってみるとホントよく頑張ってきました。今日は思いっきり自分自身を褒め称えたいと思います。今野先生に20年ぶりにお会い出来て感無量です。
  タイトル 日時 場所 内容


食い止めよう!
労働時間の規制破壊
やめさせよう!
ブラック な働かせ方
2014年10月25日
※終了しました。
主婦会館プラザエフ
7階カトレア
【第1部】
労働法制規制緩和の現状と今後の課題
(報告:弁護士 菅俊治)
【第2部】
シンポジウム
  • (パネリスト)
    中原のり子さん(東京過労死を考える家族の会)
    大利英昭さん(都庁職病院支部書記長)
    弁護士 今泉義竜

開催レポート



集団的自衛権で
日本はどうなる?
―現代の戦争から考える
私たちの未来―
2015年2月7日
※終了しました。
主婦会館プラザエフ
7階カトレア
【第1部】
現代の戦争の実態~ガザを取材して~
(報告:ジャーナリスト 志葉玲さん)
【第2部】
集団的自衛権をめぐる緊迫した情勢と対抗運動
~いまわたしたちが取り組むべき課題~
(報告:弁護士 坂本雅弥/弁護士 大竹寿幸)

開催レポート



非正規雇用
~もう無権利のままにはしない!~
2015年6月16日
※終了しました。
日比谷コンベンション
ホール(日比谷図書文化館内)
非正規雇用労働者のたたかいの現状と今後の取り組みについて交流し、実務もあわせて紹介します。
(報告:弁護士 青龍美和子/弁護士 中川勝之)

開催レポート



国と企業の責任を問い続ける
~原発・アスベスト~
2015年10月31日
※終了しました。
主婦会館プラザエフ
9階すずらん
福島原発被害やアスベスト被害に対する取り組みや訴訟の現状と今後など、現代にはこれまで考えられなかった新しい問題が提起されます。こうした問題への取り組みと実務を紹介します。
(報告:弁護士 本田伊孝/弁護士 青龍美和子/弁護士 長谷川悠美)

開催レポート



男女平等社会の
実現を目指して
2015年11月18日
※終了しました。
主婦会館プラザエフ
地下2階クラルテ
非正規雇用、ダブル・トリプルワーク、離婚、DV、子ども、生活保護といった女性の視点から様々にあらわれる問題をどうとらえるか。そこに関わる実務も紹介します。
(報告:弁護士 今野久子/弁護士 岸松江/弁護士 長谷川悠美)

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