相続問題 遺留分の請求
母が他界しました。相続人は私と兄の2人ですが、母は兄に全財産を相続させる遺言を作成していました。遺言があると仕方がないのでしょうか?
回答者: 弁護士 大竹寿幸
相続人(亡くなった人の兄弟姉妹を除く)には遺留分があります。遺留分とは、遺言でも侵害できない相続人の最低限の取り分(法定相続分の半分の割合)のことです。
例えば、遺産が2000万円の不動産と預貯金1000万円だった場合、あなたの法定相続分は2分の1で1500万円ですから、その半分の750万円が遺留分です。遺言により遺留分を侵害されたことになるので、兄に対して遺留分侵害相当額750万円を請求できます。
もし、兄が1000万円の生前贈与を受けていた場合は、遺産と生前贈与の合計額4000万円の4分の1の1000万円が遺留分です。
ただし、遺留分の請求権は、相続があったこと及び遺留分を侵害する遺言があったことを知った時から1年以内に請求しなければ、時効によって消滅します。このため、「遺留分侵害額請求書」を遺産を受けた人に内容証明郵便で1年以内に郵送します。具体的な金額は記載しなくても構いません。もし、母親が認知症で遺言無効の裁判を起こす場合でも、判決まで1年以上かかりますから、遺留分侵害額請求書を念のため送っておきます。
遺留分侵害額請求書を送った後は、相手と協議しますが、解決できない場合は調停や裁判をすることになります。遺留分の額の算定や誰にいくらを請求するかは難しいことが多いので、弁護士にご相談されることをお勧めします。
(2021年10月記)
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