地代の値上げ、応じるべき?
借地に建物を建て15年住んでいますが、地主が現在の地代は相場より安すぎるので値上げすると言ってきました。15年間一度も地代が値上げされたことはありません。地主の言うとおり払う必要があるのでしょうか。
回答者: 弁護士 大竹 寿幸
まず、地主の言うとおり払う必要はありません。借地借家法11条2項では、地代増額について当事者間の協議で合意に至らないときは、裁判所で正当な地代を決める判決が確定するまで、借主が相当と思う地代を支払えば良いとされています。つまり、地代をいくらにするかはまず当事者が様々な事情を考慮して決めることですから、あなたが地主の言う地代が高すぎると思う場合は値上げを断ることが可能です。地主が従前の地代やあなたの決めた新地代を受け取らない場合は法務局に供託することになります。
あなたが地代の値上げを断ると、地主は裁判所に調停や訴訟を起こしてくることがあります。調停は裁判所を間に入れた当事者による話し合いの手続きです。そこで当事者が増額について合意することもありますし、話し合いがまとまらずに終わることもあります。話し合いがまとまらない場合は訴訟になることが多いです。訴訟では場合によっては不動産鑑定士による鑑定を考慮して裁判所が地代を決めます。
15年間一度も地代が値上げされたことがないとすると、裁判所でも一定額の値上げが認められる可能性があります。契約期間の途中で増額する場合、現在の地代額が近隣相場より相当低かったとしても、近隣相場と同じ金額への増額が一気に認められることはありません。新規で借地権を設定する際の新規地代ではなく、長期にわたって土地を借りている場合の継続地代はいくらが適正か決めるからです。
もっとも適正な継続地代は借地契約ごとに判断されるため一般的な基準はありません。住宅地の場合は土地固定資産税の3〜5倍が適正な地代と言われることが多いですが、これはあくまで目安に過ぎませんので、自ら判断せずに弁護士にご相談ください。
以上
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