平和と憲法
国会議員の比例定数の削減に反対するタブロイドを作成しました。
民主党が国会議員の定数削減に執念を燃やしています。 民主党・菅首相は、2010年7月の参議院選挙で「衆議院の比例定数80削減」を公約に掲げ、9月の民主党代表選挙、10月の臨時国会での所信表明演説でも、議員定数の削減を繰り返し表明しました。
■比例定数が削減されるとどうなるの?
→得票と獲得議席のゆがみがますます大きくなり、国民の声が国会に届かなくなります。
いまの衆議院の選挙制度である小選挙区・比例代表並立制は1994年に導入されました。小選挙区制は選挙区で第1位の得票を得た者のみが当選する制度ですから、大政党に極端に有利になり、多様な民意は切り捨てられます。その弊害を緩和するために、比例代表との並立制とされたのです。民意を反映するための比例代表の議席を削減すれば、今まで以上に各党の得票数と獲得議席のゆがみが大きくなり、世論が国会に反映しなくなります。
2009年総選挙の比例代表の得票率をもとに、比例定数を80削減されたらどうなるのかをシミュレーションしてみると
民主党(得票率 42.41%)→ 274議席(議席占有率68.5%)
公明党(得票率 11.45%)→ 10議席(議席占有率 2.5%)
共産党(得票率 7.03%)→ 4議席(議席占有率 1.0%)
社民党(得票率 4.27%)→ 3議席(議席占有率 0.8%)
となり、民主党が本来得られる議席の1.6倍を獲得する一方、公明党で4.5分の1、共産党にいたっては7分の1の議席しか得られないことになります。これが公正な選挙制度と呼べるでしょうか。
■ムダな国会議員は減らすべきでは?
→いまでも少ない議員定数を減らせば、私たちの大切な一票がますます政治に届かなくなります。
いまでも、日本の議員定数はヨーロッパ諸国に比べて少なめです。
日本 → 人口27万人に対し議員1人(衆議院)
イギリス → 人口 9万人に対し議員1人(下院)
フランス → 人口10万人に対し議員1人(国民議会)
ドイツ → 人口13万人に対し議員1人(連邦議会)
国会議員というのは、国民の中にある様々な要求や意見を国政に反映させる「回路」ですから、いまでも少ない国会議員をさらに減らせば、「回路」が断ちきられ、私たちの一票がますます国政に反映されなくなります。
「ムダを省く」というなら、ヨーロッパ諸国に比べて段違いに高額な「政党助成金」をまず廃止すべきです。国会議員「ムダ」論については、こちらの自由法曹団意見書もご参照下さい。
当事務所では、この比例定数削減の問題を多くの方に知っていただきたく、タブロイドを作成しました。是非、ご活用下さい。