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2013年2月1日、事務所の主催で、「改正労働契約法をどう活用するか 有期契約労働者の権利前進のために」と題するシンポジウムを、四ツ谷にある主婦会館にて開催しました。
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平日の日中という時間帯であるにもかかわらず、労働組合の専従活動家や争議担当者、そしてわざわざ有給を取得してまで参加をしてくれた人など、事務所外から118名が参加してくれました。内容的にも非常に高いレベルの議論になったと自負しています。
当事務所から法律家からの見解を述べようということで、今泉義竜弁護士をパネリストとして当初予定していましたが、今泉弁護士がインフルエンザに倒れてしまったため、急遽小林譲二弁護士がピンチヒッターで報告しました。シンポ全体のコーディネーターは、笹山尚人弁護士が担当しました。 -
シンポジウムは、まず小林弁護士から改正法の内容と問題点を説明しました。
その後、首都圏青年ユニオンのベローチェ争議の当事者から有期労働者の実態告発を特別報告をしてもらいました。
その後パネルディスカッション方式で議論を行うこととし、北口明代・生協労連中央執行委員長、白神薫・東京自治労連組織拡大専任者からそれぞれの労働組合の取り組み、労働契約法に関する受け止め、評価、現場で起こりつつある問題についてそれぞれ報告してもらいました。
それから、小林弁護士が労働契約法の活用について提案を行いました。その中でも提起されましたが、やはり法を生かすも殺すも労働組合の活動次第である、ということで労働組合の団結、組織化をどのようにはかっていくかという観点で、北口さん、白神さんそれぞれから組織化の経験とこれからの取り組みの課題などを発言してもらいました。
北口氏や白神氏からは、「使用者は常に法の悪用を考える。そうしたときに一人で立ち向かうのは限界がある。組合があるかないかでだいぶん違う。有期契約の労働者は女性が多いので、わかりやすく、親しみやすく、話し込んで組合への加入を訴えていきたい。」「勝手に労働契約の更新回数について限度を設けることはおかしい。問題がない限り更新するべきではないか。労働組合は雇用を守ることこそ第一の課題。これまでも雇用を守るということを訴えて組織化してきた。労働組合に組織されていない労働者が無期転換を申し出るなんてことも基本的に無理である。まだまだ知られていない労働者に知らせていく努力が必要である。」といった発言がありました。
会場からも二度会場発言を募り、この問題に関する受け止め、取り組みを様々な労働組合から発言してもらいました。
例えば、「法律をどう活用するのか、悪用をどう防止するのか。一番活用できるのは20条だが、当組合では、秋闘から要求を始め是正の成果をあげている。非正規については、それぞれの職場で差別がある。労働条件や就業規則の点検をして、差別をなくしていく取り組みが必要だ。」「労働組合の役割は、当事者の団結体をどうつくるかだ。既存の労働組合があるところでは、法にないなら、自分たちが『入り口規制』を作ればいい。」「非正規の組織化で、当該職場に正規で組織される組合があるとき、これからはその職場の組合に組織化と連携を訴えていきたい。正規の執行部の意識変革が大切。」といった活発な意見が交換された。 -
感想文やフェイスブック、所員に寄せられた感想などには次のような声が寄せられた。
「アップトゥデートな企画で良かった。有期契約の問題は女性労働者の問題なので、自分たちの組合でも女性部などで同様の企画を考えたい。」
「労働契約法を使用者に悪用させないためにも、労働者が有効に活用していくためにも、労組の役割が大きいことが再認識できました。印象的なのは、やはりベローチェの方の発言。こうした若い方にしわ寄せがくるケースも多いと思います。また、生協労連の皆様のように労働契約法の内容を意識した統一要求を作成していることも勉強になりました。」
「シンポでの討論をつうじて、労働組合の果たす役割が大切だということが共有できたことがよかった。」 -
労働者、労働組合に適切な問題提起をでき、また、普段なかなか業界が違うと連携協力しあう機会が意外と少ない労働組合間の交流になりました。
問題は、今後、このシンポの成功を受けて、更に労働者の権利前進及び労働組合の活動の発展に寄与できるよう、事務所として取り組んでいきたいと考えます。
以 上