お知らせ
今野久子弁護士、君和田伸仁弁護士が担当したシックハウスを巡る紛争の東京高等裁判所判決が「判例時報」2172号に掲載されました。
この判決(平成24年10月18日判決)は、A氏が勤務していた新設建物の化学物質によりA氏が化学物質過敏状態となったこと、それは使用者の安全配慮義務違反によることを、認めました。
現在厚労省では、シックハウス〈室内空気汚染〉問題に関する検討会において、化学物質の指針値の設定の仕方(TVOCの値も含め)について検討中であり、その面からも注目される判決です。
本判決の意義と思われる点は多々ありますが、主な点をあげておきます。
- シックハウス問題についての、裁判例そのものが少ない。
- 基準値が決まっている13化学物質だけでなく、暫定的指針値が定められている総合化学物質(TVOC)による空気質汚染を認めていること。
- 揮発性有機化合物等の化学物質による化学物質過敏状態が発症したこと(因果関係)について、高度の蓋然性の証明で足りるとしていること(従来の最高裁の判例法理である)。
- 使用者の安全配慮義務として、「労働者の勤務場所(部屋)及び勤務するにあたって通行し、出入りする場所に化学物質過敏状態を発症させるような濃度及び量の揮発性有機化合物等の化学物質が存在しないように配慮すべき義務」を認めたこと。
以上