このごろ「終活(しゅうかつ)」という言葉をききますが、
何をするのでしょうか?
問1)このごろ「終活(しゅうかつ)」という言葉を聞きますが、何をするのでしょうか?
問2)どんなことを決めておくとよいでしょうか?
問3)遺言はどういう方法がよいでしょうか?
問4)遺言執行者や祭祀の承継者を指定しておくとよいと聞きましたが。
回答者: 弁護士 平井 哲史
- 問1)このごろ「終活(しゅうかつ)」という言葉を聞きますが、何をするのでしょうか?
- 回答)主に葬儀や墓などの準備、残された方が財産の相続を円滑に進められるための計画を立てておくことがあげられます。核家族化が進み、また慣習も変わってきていますから、死後のことをあらかじめ準備し、また相続・贈与などについて、ご自分の意思を文書で明確にしておかれることが大切です。
- 問2)どんなことを決めておくとよいでしょうか?
-
回答)葬儀は財産にかかわることではありませんが、知らせてほしい人や葬儀の規模、やりかたなど希望を書いておくとよいでしょう。相続については、遺言がなければ法定相続分を前提にして、相続人同士が遺産分割協議をして決めることになります。特定の人(友人・知人でもかまいません)に多くあるいは少なく残したいときは書いておきましょう。
子供がいない場合には、配偶者に4分の3の権利がありますが、兄弟姉妹にも4分の1の権利がありますので、このような場合には紛争になりがちです。遺言書で全て配偶者に相続させるのか、一部は兄弟姉妹にも相続させるのか、書いておきましょう。また子供やきょうだい、甥、姪もいない、配偶者や親も既に亡くなっている場合、親しい「いとこ」がいても、いとこには相続権がないので、財産は国のものになります。遺言書で特定の人、あるいは福祉団体やNGOなどに寄付(遺贈)することも考えられます。 - 問3)遺言はどういう方法がよいでしょうか?
- 回答)すべてを自筆で記載する自筆証書遺言、公証人役場で作ってもらう公正証書遺言の方法があります。病気で役場に行けないときは公証人に自宅や病院にきてもらうことも可能です。自筆証書遺言は手軽ですが、高齢だと「本当は判断能力はなくなっていたのではないか」などと効力が問題にされたり、書いてある内容がはっきりしないために争いになることもあります。公正証書遺言は、費用がかかります。どちらにしても弁護士にご相談ください。
- 問4)遺言執行者や祭祀の承継者を指定しておくとよいと聞きましたが。
- 回答)遺言執行者は、いわば遺言者の代理として、遺言の内容を実行します。指定がないと、家庭裁判所に選任してもらうことになります。特定の人に葬儀や墓守をしてほしい場合には祭祀の承継者として指定しておきましょう。
(2013年10月記)
「終活」に関する取扱事件