役立つ法律相談Q&A | 東京法律事務所

亡夫の自筆の遺言書を見つけました。今後の手続きを教えて下さい。

亡夫の自筆の遺言書を見つけました。今後の手続きを教えて下さい。

亡くなった夫の机の中に遺言書と書いた封筒を見つけました。封を開けて中を見ると、自宅の土地建物と預金などの全財産は妻の私に譲るという自筆の遺言書が入っていました。夫と私には2人の子がいます。夫には先妻の子がいるはずですが、住所や連絡先はわかりません。今後どのような手続きをしたらよいでしょうか。

回答

回答者: 弁護士 井上 幸夫


 亡くなった方の自筆の遺言書を保管していた人やそれを見つけた相続人は、まず、家庭裁判所に遺言書の検認申立てをします。自筆の遺言書によって不動産の相続登記や預金の解約をするには、裁判所が遺言書を検認していることが必要です。
なお、封筒に封がしてありそこに印鑑が押されている場合、開封してしまうと、遺言書が無効になることはありませんが、過料の制裁がありますので、開封せずに検認申立をします。封筒に封がしてあっても封に印鑑が押されていない場合は、開封して中を見ても大丈夫です。

■ 検認の手続き
遺言書の検認申立てをするには、相続人が確定が必要です。そのためにまず戸籍謄本や住民票の取り寄せをします。このとき先妻の子の住所も調べます。その後、家庭裁判所に申立書を提出します。家庭裁判所は、相続人全員に遺言書検認の期日を通知しますが、遺言書を保管していた人以外の相続人の出席・欠席は自由です。その期日に裁判官が遺言書の状態を確認します。

■ 不動産相続登記と預金解約の手続き
土地建物を特定しないで「全財産を誰に譲る」というだけの遺言書でも、土地建物の相続登記ができます。
預金の解約は、銀行所定の相続届、遺言書、戸籍謄本などを銀行に提出して行います。

■ 遺留分について
 「全財産を誰に譲る」という遺言書について他の相続人に異議があっても、不動産相続登記や預金解約を行うことができます。ただし、相続人は、その遺言書の内容を知ってから1年以内であれば遺留分侵害額請求を行って、遺産の中から法定相続分の半分(遺留分)相当の金銭の支払いを求めることができます。
登記・預金解約の手続きは、全ての相続人が確認できる戸籍謄本も必要であり、煩雑で大変な場合もありますので、弁護士に依頼することをお勧めします。登記の専門家である司法書士もいる当事務所に、お気軽にご相談、ご依頼ください。

(2016年11月記) (2021年5月民法改正により修正)

役立つ法律相談Q&A 一覧に戻る


ご相談のご予約は、予約申し込みフォームまたはお電話でお申し込み下さい
お気軽にお電話ください03-3355-0611
予約申し込みフォームへ
スマホサイトを表示