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相続問題 内縁・事実婚の相続

相続問題 内縁・事実婚の相続

内縁・事実婚の関係にあるカップルの一方が亡くなった場合の相続関係はどうなりますか?

回答

回答者: 弁護士 今野久子


「内縁」とは、社会一般には夫婦としての実質をもちながら婚姻届を出していないために、法律上は夫婦として認められない関係のことをいい、「事実婚」とも呼ばれています。

婚姻届を出した夫婦(「法律婚」の夫婦)は、互いに法定相続人となるので(民法八九〇条)、どちらかが亡くなっても他方が相続できます。他方、内縁・事実婚の場合、互いに法定相続人として扱われません。2人で築いてきた財産も当然相続することにはならないのです。ですから、財産を遺すには、遺言を作成しておくことが必要です。

ただし、その場合も、税法上、妻(夫)ではないため、相続税の基礎控除の相続人の数には入らず、また配偶者控除の軽減措置も適用されないなどの不利益があります。

法律婚の夫婦の子どもは、父母のどちらが亡くなっても当然に法定相続人となりますが(民法八八七条一項)、内縁・事実婚の夫婦の子どもは、父親が認知をしなければ、父親が亡くなっても、子どもは父親の相続人と扱われません。認知していない場合でも、遺言で財産を子どもに遺すことは可能です。

自分の姓が変わらないように事実婚を選ぶカップルも、互いに相続権はありません。夫婦や家族のあり方が多様になっている時代に、別姓夫婦に対するこのような不利益な扱いは、不公平です。

夫婦に同氏(姓)を強制しているのは日本だけ。選択的夫婦別氏(姓)制度を早期に実現したいものです。

(2021年10月記)

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