事件紹介
江戸川区自然動物園不当配転事件、東京都労働委員会が動物飼育員2名の原職復帰を
命ずる(担当弁護士 小部正治、中川勝之、青龍美和子)
江戸川区自然動物園不当配転事件で、9月4日、東京都労働委員会が、えどがわ環境財団に対し、動物飼育員2名の原職復帰を命じました。
以下に、弁護団の声明を掲示して、本件命令の紹介とします。なお、下記リンクの東京都労働委員会のプレスリリースでも詳細が紹介されています。
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2014/meirei24-57.html
えどがわ環境財団の不当配転及び不誠実団交を断罪した
東京都労働委員会救済命令(9/4交付)についての声明
2014年9月4日
東京公務公共一般労働組合
同江戸川動物園分会
同弁護団
1 東京都労働委員会は、平成26年8月5日付で、平成24年(不)第57号不当労働行為救済申立事件(申立人東京公務公共一般労働組合(以下「組合」という。)、被申立人公益財団法人えどがわ環境財団(以下「財団」という。)及び同江戸川区)について、財団に対し、①組合員2名に対する平成24年4月1日付配転命令をなかったものとして取り扱い、江戸川区立自然動物園の職務に復帰させなければならない、②本件配転命令及びそれに関する団体交渉に誠実に応じなかったことが不当労働行為であると認定され、今後このような行為を繰り返さないよう留意する旨の文書の交付及び掲示をしなければならないとの救済命令を発し、本日、その命令書が交付された。
我々は、本命令が本件配転命令及びそれに関する不誠実団交を不当労働行為と判断して救済命令を発したことを極めて正当なものとして高く評価し、歓迎する。
2 本件は、財団が運営する江戸川区立自然動物園においてパワハラ等の問題を起こしていた動物飼育員を財団に告発し、組合に加入した動物飼育員の組合員のうち、1名が事務職に、1名が別の動物施設にそれぞれ配転された事件である。組合は組合員の配転問題やパワハラその他の問題について財団と団体交渉を行ったが、財団は本件配転の業務上の必要性を何ら具体的に説明しなかった。
本命令は、本件配転が不利益取扱いであること、異例の措置であることを前提に、本件配転に真に業務上の必要性があったのか、疑いを持たざるを得ないとし、財団として組合を問題視し、組合加入者の拡大を阻止しようと考えていたものと推認の上、本件配転が組合員であるが故の不利益取扱い(労組法7条1号)及び組合の弱体化を企図した組合の運営に対する支配介入(同条3号)に該当し、さらには本件配転に関する団体交渉が不誠実団交(同条2号)と判断したものである。
3 不当配転された組合員2名のうち、1名は正規職員であるが、1名は同じ動物飼育員という基幹的・恒常的業務に従事する職員でありながら、5年間の有期労働契約とされている。組合は、5年間の有期労働契約の問題も含め、要求実現のため財団と団体交渉を行っており、住居手当も獲得したが、財団は組合員の配転問題については解決する姿勢を見せようとしない。
本件配転についてはその無効確認及び損害賠償の請求の裁判を組合員2名が東京地方裁判所に提訴しており、今月30日の期日は結審と予定されているが、本件配転が不当労働行為である以上、無効・違法で損害賠償請求が認められることも明らかである。
我々は、財団に対し、本命令を真摯に受け止めて争うことなく、直ちに組合員2名を江戸川区立自然動物園に復帰させて配転問題を全面解決するよう強く求めるものである。
以上