2014年7月1日の閣議決定に基づき、集団的自衛権行使を具体化する法整備が進められようとしています。
イラク、パレスチナの戦場取材をしてきたジャーナリストの志葉玲さんから戦場での取材体験を映像・写真とともにお話していただきます。現代の戦争の実態から、集団的自衛権行使を認めることが日本に何をもたらすか、私たちが取り組むべき課題は何かを考えます。
東京法律事務所創立60周年記念連続セミナー第2回「集団的自衛権で日本はどうなる?
―現代の戦争から考える私たちの未来―」は、前回を上回る192名の方々にご参加いただきました。ありがとうございました。
◆現代の戦争の被害の実態
ジャーナリストの志葉玲さんからは、写真・映像を交えてガザやイラクの現状が紹介されました。志葉さんは、どの紛争地域にも必ず「普通の人」が住んでいて、「普通の人」が犠牲になっていると言います。志葉さんが撮影した、子どもたちが犠牲になった写真の数々、そしてそれを葬る家族の嘆きには思わず目を背けたくなります。そうした被害の残酷な実態は日本ではほとんど報道されませんが、日本も無関係ではありません。日本では、平和憲法のもと戦後維持されてきた「武器輸出3原則」が撤廃され、今後、イスラエルに輸出されるF35戦闘機の部品のうち40%が日本製になり、日本製の武器がガザで暮らす人々が、子どもたちが殺されることになると志葉さんは指摘します。
◆平和的生存権には「殺さない権利」も
みずからが攻撃を受けていないにもかかわらず「他国防衛」のために集団的自衛権を行使するというのは、日本がアメリカやイスラエルといった他国の戦争に参加し、「加害者」になることを意味します。坂本弁護士と大竹弁護士からは、集団的自衛権行使というものがこれまでの政府の見解とも全く整合しないものであること、歴史的に集団的自衛権が大国による他国介入の口実として使われてきたことが指摘されました。志葉さんは言います。憲法前文の平和的生存権には「殺されない権利」だけではなく、「殺さない権利」もある。戦争に加担しない・人を殺さないという意味での「平和的生存権」を日本人は主張していくべきである、と。
◆本当の積極的平和主義とは
では、日本に求められる本当の「積極的平和主義」とは何でしょうか。それは「宗派間の和解をさせること」と志葉さんは言います。ISがイラクで台頭した背景には、イラク戦争があります。イラク戦争後にアメリカが支援したシーア派を中心とするイラク政権は、スンニ派を弾圧しました。ISが台頭した地域は、イラク政権が弾圧した地域と重なります。スンニ派住民の不満がISの台頭を許したのです。日本がイラクの宗派間対立をおさめるために動いて、「平和国家日本が言うなら争いを収めよう」という気運をつくることができたなら、それこそが日本しかできない大きな国際貢献となる。志葉さんの訴えは、現場を知る方ならではの強い説得力がありました。
◆第1部 志葉玲さんの「ガザ地区の現地報告」はいかがでしたか?
◆弁護士からの情勢報告、志葉玲さんとの鼎談はいかがでしたか?
◆集団的自衛権についての思いや、今後の企画の要望などありましたらお書き下さい。
タイトル | 日時 | 場所 | 内容 | |
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第 一 回 |
食い止めよう! 労働時間の規制破壊 やめさせよう! ブラック な働かせ方 |
2014年10月25日 ※終了しました。 |
主婦会館プラザエフ 7階カトレア |
【第1部】 労働法制規制緩和の現状と今後の課題 (報告:弁護士 菅俊治) 【第2部】 シンポジウム
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第 二 回 |
集団的自衛権で 日本はどうなる? ―現代の戦争から考える 私たちの未来― |
2015年2月7日 ※終了しました。 |
主婦会館プラザエフ 7階カトレア |
【第1部】 現代の戦争の実態~ガザを取材して~ (報告:ジャーナリスト 志葉玲さん) 【第2部】 集団的自衛権をめぐる緊迫した情勢と対抗運動 ~いまわたしたちが取り組むべき課題~ (報告:弁護士 坂本雅弥/弁護士 大竹寿幸) |
第 三 回 |
非正規雇用 ~もう無権利のままにはしない!~ |
2015年6月16日 ※終了しました。 |
日比谷コンベンション ホール(日比谷図書文化館内) |
非正規雇用労働者のたたかいの現状と今後の取り組みについて交流し、実務もあわせて紹介します。 (報告:弁護士 青龍美和子/弁護士 中川勝之) |
第 四 回 |
国と企業の責任を問い続ける ~原発・アスベスト~ |
2015年10月31日 ※終了しました。 |
主婦会館プラザエフ 9階すずらん |
福島原発被害やアスベスト被害に対する取り組みや訴訟の現状と今後など、現代にはこれまで考えられなかった新しい問題が提起されます。こうした問題への取り組みと実務を紹介します。 (報告:弁護士 本田伊孝/弁護士 青龍美和子/弁護士 長谷川悠美) |
第 五 回 |
男女平等社会の 実現を目指して |
2015年11月18日 ※終了しました。 |
主婦会館プラザエフ 地下2階クラルテ |
非正規雇用、ダブル・トリプルワーク、離婚、DV、子ども、生活保護といった女性の視点から様々にあらわれる問題をどうとらえるか。そこに関わる実務も紹介します。 (報告:弁護士 今野久子/弁護士 岸松江/弁護士 長谷川悠美) |