交通事故など
医療事故
○ 手術の結果、後遺症が残ってしまった。
○ 検査結果の見落としで手遅れになってしまった。
医療事故により重い障害が生じたり、ご家族を亡くされたりした悲しみは、たいへん深いものです。
当事務所では、こうした医療事故に関するご相談にも応じています。
医療機関がミスを認めて謝罪をする場合とそうでない場合とがありますが、いずれにしても、事実関係を十分に調査したうえでの交渉が必要になります。
もともと、医療には一定の危険が伴いますし、適切な医療を行っても不幸な結果を避けられない場合も少なくありません。当事務所では、事案に応じた適切な解決が図られるよう心がけています。
交渉での解決が難しい場合は、調停や裁判などの手続きを行うこともあります。
【ご相談にあたってのお願い】
患者さんの状態の変化や診察・治療の内容を時系列で整理していただけると助かります。弁護士は、効率よく相談に臨めますので、より迅速・的確なアドバイスができると思います。
医療事件のご相談があった場合は概ね以下のような進め方をしています。
医療記録の収集と調査
○まず調査
医療事件は専門性が高いので、通常は医療機関側に責任があるかどうかを検討するまでの「調査」を受任します。検討の結果、責任を問えそう、問うべきという場合に、いよいよ交渉や調停、訴訟に進みます。
調査の段階では、医学文献の収集と平行して、患者さんの医療記録を読み込んでいきます。
○証拠保全とカルテ開示請求
医療記録の収集のためには、まず証拠保全の必要性を検討します。
証拠保全は、裁判官に医療機関にのりこんでもらって、その場で医療記録を写真に収めてもらいます。当日、ほぼ事前の予告のない状態で訪れるので、カルテの改ざんを防げることになります。
そのほかに、平成15年に制定された個人情報保護法などにより、患者が自身の医療記録の開示を見られることが当然の権利となりました。どの医療機関もだいたい開示制度を設けており、そのほうが費用もかからないし、スピーディーなことが多いので、カルテ開示請求をするケースもあります。
○証拠保全の現場
証拠保全の現場では、裁判官が開示命令を出して、それを受けて医療機関の事務の方がカルテを持ってくるのを待ちます。集まられた医療記録を、裁判官、弁護士が1枚1枚、目をとおし、不審な点がないかを確かめ、同行カメラマンが写真に収めて行きます。
決定的な証拠が欠けていないか厳しくチェックします。
A病院事件
この事件は、頸椎の手術の直後に患者さんが四肢麻痺となってしまいました。
証拠保全の現場で、手術直後に作成されたリハビリテーション実施計画書がないことに気がつき、それを指摘しました。すると、病院の事務長さんが内線で医局と相談し、待つこと15分。別のファイルが会議室に届けられました。実は、医療記録からリハビリテーション実施計画書が抜き取られて、別の事故対策ファイルに綴じられていたことが判明しました。事故対策ファイルには、分厚いカルテとともに、患者やその家族からの苦情の内容や医師の説明内容が克明に記録されていました。
さらに、後日、事故対策ファイルに綴じられていたカルテのコピーと、カルテの原本とを比較したところ、カルテの原本に後日、担当医が「書き込み」をしていたことも判明しました。この手術では、途中で異変があり、当初計画していた手術の一部しか行われなかったのですが、一部の手術をとりやめた理由について、医師が1年以上も立ったあとで書き込みをしていた動かぬ証拠を確保できたのでした。
B病院事件
前医の処置に問題があったため、敗血症を発症し、後医に緊急搬送された事件。この事件では、2カ所の病院に同時に証拠保全をかけたのですが、証拠保全の現場で前医から直接、声がかかり、責任を認めてご遺族に謝罪をしたいという申し出がありました。
■交渉、調停、訴訟
調査の結果、責任を問うことは困難と判断して終了する案件は少なくありません。 責任ありと判断する場合は、あらためて委任契約書を締結して事件に着手します。交渉、調停、訴訟など、適切な手続を選択します。
C病院事件(交渉)
点滴の針を長期交換しないままにしていたところ感染症となり、感染性の心内膜炎(心臓の中に病原巣ができてしまった状態)に至って、最終的には心臓から血栓から脳梗塞を引き起こして亡くなったケース。
D病院事件(訴訟)
救急を受診したところ、頻脈、心房細動が見つかり、さらに甲状腺機能亢進症(甲状腺クリーゼという危機状態)が判明したが、処置が間に合わず、植物状態となったケース。
E病院事件(調停)
人間ドックにより、肺に2〜3cmの腫瘍と思われるCTがあったものの、それが見落とされ約1年後に亡くなったケース。
執筆者:弁護士 菅 俊治
この事件を以下の弁護士が取り扱っています(五十音順)