中小企業(企業法務/任意整理・再生・破産/フランチャイズ)
フランチャイズ
フランチャイズ加盟者のために
今日、コンビニエンスストアのみならず、外食産業、学習塾、クリーニング、住宅販売など様々な業種においてフランチャイズが存在します。しかし、加盟者(フランチャイジー)とフランチャイズ本部(フランチャイザー)が有する知識や情報について大きな格差があります。そのため、フランチャイジーは、フランチャイザーとの間に不利なフランチャイズ契約を締結してしまうことが多くあります。そのため、損害を被ったフランチャイジーとフランチャイザーとの間に法的なトラブルが多く発生しています。
当法律事務所は、そのような加盟者の利益を守るために、フランチャイズ本部との交渉、裁判など行います。加盟者とフランチャイズ本部との間のトラブルの一例としては、次のものがあります。
契約勧誘段階での問題
フランチャイズ本部が、加盟候補者にフランチャイズへの加盟を勧誘するにあたり、経営に関する情報を開示しないことがあります。また、開示しても、その情報が虚偽であることもあります。加盟者は、適切な情報が開示されないと、誤った判断に基づいてフランチャイズ加盟してしまうことになります。そのため、このような勧誘は、欺まん的勧誘として、フランチャイズ本部に損害賠償責任が認められる場合があります。
フランチャイズ加盟契約後の問題
フランチャイズ契約を結び開業したものの、本部が加盟者に対してノウハウを付与しない、適切な経営指導を行わないなど、本部側が義務を果たさないというトラブルも多くあります。この場合、加盟者はフランチャイズ契約の解除、損害賠償請求が認められる場合があります。
フランチャイズ契約終了段階の問題
フランチャイズ契約の終了段階では、フランチャイズ本部がフランチャイズ契約の更新を拒絶する場合があります。仮に契約書に期間満了の規定がある場合でも、公平の観点から本部側の更新拒絶が認められない場合もあります。また、フランチャイズ契約書では、契約終了後の競業避止義務が定められている場合がほとんどですが、事案によっては公序良俗に違反する場合もあります。
当事務所では、30年以上前から、コンビニFCを皮切りに、ファーストフードFC、食堂FC、水まわりの緊急メンテナンスFCなど多数の事件に取り組んできました。
事件1 フジオフード事件 最高裁判決で勝訴・画期的な判断(担当弁護士 坂本雅弥)
「ごはん家まいどおおきに食堂」の加盟店オーナーさんからのご相談。
元加盟店3社が原告となった第1陣訴訟は、二審・東京高裁でFC本部とFC契約の勧誘行為を行っていた会社に対して約4700万円の支払を命ずる判決を下していましたが、2012年7月10日、FC本部側らの上告を退ける決定をし、加盟店側勝訴が確定しました。
東京高裁判決は、「合理的根拠のない売上、収益を提示」し、「飲食の素人でもできる。サポート体制万全」などとしたFC本部の勧誘行為は、欺まん的(詐欺的)勧誘にあたり、違法であるとしました。また、経営指導を行うはずのスーパーバイザーの体制に重大な不備があり、経営改善支援対策、ノウハウが欠落しており、FC本部の「経営指導義務の不履行」があるとしました。他方、同高裁判決は、FC本部が、元加盟店に対して競業避止義務違反を理由として提訴した反訴請求を全面的に棄却しました。
多数の店舗が閉店・脱退に追い込まれ、多くのオーナーが人生を狂わせられました。FC加盟店を保護する法律が必要であることを認める画期的判決です。
事件2 宅配ずしAチェーン店事件(担当弁護士 小部正治 菅俊治)
複数の加盟店のオーナーさんからのご相談。FC本部に対して、支払っているロイヤリティに見合う経営指導がない、食材等の仕入れについてFC本部の努力が欠けており、独自に仕入れをしたほうが良質の食材が安く手に入る。なにか打つ手はないか、というものでした。
加盟店で仲間を募り、本部と交渉しましたが、その段階では、私たち弁護士は表には立たず、交渉の根拠や紛争になった場合のリスク等のアドバイスを継続的に行いました。取り組みを通じて、加盟店の仲間が増えて行き、それによってたくさんの情報を収集することができ、FC本部の努力不足がより明らかになりました。
残念ながら、交渉で前進が見られなかったため、Xデーを決めてロイヤリティの不払い、食材の独自仕入れに踏み切りました。加盟店さんの中には、事業を多角的に経営していて経営体として体力がある方もいれば、脱サラ・借金をして開業をしたところ、ますます借金が膨らみ実際問題としてこれ以上ロイヤリティを支払い続けることができないという方もいらっしゃいました。
FC本部から、ロイヤリティや損害賠償を求める訴訟が提起され、これに対して、加盟店側からは逆にFC基本契約の債務不履行による損害賠償を請求する反訴を提起しました。
最終的には、お互いに請求を取り下げ、加盟店を脱退するということで和解が成立し、訴訟に参加した加盟店で新たに同種のFCを立ち上げて解決しました。
執筆者:弁護士 坂本 雅弥
この事件を以下の弁護士が取り扱っています(五十音順)